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狩人の悪夢

火村英生シリーズ。

と帯に書いてある。

「私にとっては”狩り”です」「俺が撃つのは人間だけだ」

と、帯に書いてある。

・・・遂に火村が猟奇殺人事件を起こしたのか、と思ったが。

「(前略)殺人などを実行する場合は、みんな理性を喪失した通常とは違う精神状態にある(後略)」

と言った、作中の火村の言葉で安心した。

こういう方を引用しようよ。

センセーショナルな言葉を選ぶのは、宣伝の為なのだろうけど。

心に闇を抱えていたとしても、反動のように、正義感に行き過ぎがあったとしても、やはり彼は健全なのだと考えたい。

「人は人を殺せるか」などという議論は、昔の学生はごく普通に討議したと思うのだが。一歩踏み出すだけ、と語り合った誰もが、殺人者などになってはいない。

 

さて、悪夢から始まる。

火村の悪夢か、と一瞬焦るが、読み進むにつれて、違うと判る。

・・・アリスの悪夢? とも思ったが、違った。

所変わって、東京駅の新幹線の改札で、アリスと火村がすれ違う。

数語交わしただけで、火村は喫煙車へ、アリスは人気作家との対談へ。

 

・・・数年前までは、のぞみに喫煙コーナーがあったが、今はなくなったのだろうか?

それとも、不精な火村は、席を立って、吸いに行くのが嫌だとか?

それはともかくとして、冒頭シーンにスマホも携帯も登場しない。

この二人はメールのやり取りもせず、立ち去って行くだけ。

まあ、まめにメールを交換し合ったり、ラインをしてたりしたら、不気味だが。

 

ナイトメアライジングの作者との対談後、アリスは夢守荘と、オーベルジュ「レヴリ」に招かれる。

 

・・・レヴリ・ドビュッシーで検索すると、羽田健太郎の弾くドビュッシーの夢がでてきたので、聞きながら、読み進む。

 

夢についての会話が交わされ、火村の悪夢をアリスが回想し、「悪夢の寝室」に泊まり、夢遊病者を見かける・・・

夢尽くしで、「夢十夜」をちょっと思い出す。

やがて、「獏ハウス」で死体が発見され、「臨床犯罪学者」火村准教授が登場する。

当り前のように、スマホが活用?される。

 

この二人の年齢は変わらないが、四半世紀経ったなあ、と実感。

女性の呼称も、昔は名前だったが、今は姓になっている。

とはいえ、火村とアリスの掛け合い漫才のような会話は健在だ。

無気味な殺人事件の中でも、彼等の掛け合いには、思わず笑ってしまう。

悪夢の解決が、火村の最後の事件になるのでは、と、ずっと思っていたが、後書を読んだら、そんなことはなさそうだった。

ちょっと安心する。