秋の日本一周クルーズ 感想
初めてのクルーズ(8日間)の全般的な感想。
一言で言えば、楽しかった。
乗船券が届いてから、準備中、クルーズ中、帰宅後、と、結構長い期間を楽しく幸せに過ごすことができた。
こんなに幸福な気分が持続したのは、初めての経験である。
乗船券とともに、「くるーずのしおり」と「乗船のご案内」が届く。
暇さえあれば、この二冊を眺めていた。
乗船前に船内図を含めて全てを把握していそうだが、鳥頭なので、何度眺めても新鮮に感じる。
各寄港地の観光案内や地図も同封されていたので、こちらも一読してみる。
オプショナルツアーには原則参加しないので、自力で行ける場所を探し、交通手段を調べてみる。
自分用の荷物のチェックリストを作り、荷造りの準備をする。
等々、煩わしい雑務でさえも楽しい。
クルーズ中はもちろん、初めて体験することばかりなので、どれもこれも楽しい。
帰ってから暫くも、軽い陸酔いだったのか、昼寝をすると、船に乗った気分になる。
見る夢は必ず、日没か日の出を眺めに行くところである。
なので、とても幸せな気分になる。
クルーズにはまる人々がいるのも納得できる。
とにかく、毎日、幸せだったのである。
多分、荷造りや荷物の出し入れ、バスでの移動がなかった為だろう。
それに、体力のなさは実感しているので、無理はしないで、のんびり過ごすことを優先していたからだと思われる。
船旅では、嫌ならキャビンに籠っていてもいいのである。
(無論、そんなことはしなかったが)
とはいえ、多少の難はある。
まず、思ったよりも、体力が必要だった。
船というのは、鉄でできているのである。
つまりは、堅くて重い。
キャビンに辿り着いて、ドアを開けた瞬間、
『こりゃ、見通しが甘かったかな、船内生活には体力が要るようだ』
と実感する。
キャビンのドアはもちろん、バスルームのドアもかなり重い。
デッキに出る為のドアは、更に重い。
加えて、船内は基本的に徒歩で移動なのである。
毎日、かなりの距離を歩かねばならない。
縦方向にはエレベータがある。
しかし、横方向には徒歩で行くしかない。
今回乗船したぱしふぃっくびいなすは、全長183.4m、全幅25.0。
端から端まで行くことはあり得ないが、例えば、食事に行くなり、展望風呂に行くなり、何処に行くにしろ、歩かなくてはならないのである。
スマホの歩数計が正しく計測していたとして、8日間平均11,460歩だった。
普段は平均5000歩程度なので、倍は歩いていたことになる。
まあ、おかげで、危惧したほどには体重は増加しなかったようだ。
次に、トレイの便座が高すぎた。
海外ではよくあることだが、座ると足が届かないのである。
さらに、トイレットぺーバーホルダーの位置が離れている。
手を伸ばしても届かない。
日本船でこんな目に合うとは予想もしていなかったので、どうすりゃいいんだ、と、当初、かなり情けない思いをした。
が、毎日数度の事である。じきに慣れた。
逆に、帰宅した時に、家のドアが軽くて、便座が低いのに驚いたぐらいである。
部屋は、ステイトルームHで、丸窓である。
1人旅なので、船賃は30%増しになる。
なので、申込可能な一番下のランクを選択した。
室内は、二人だと少し狭いかも知れないが、一人なら十二分の広さがある。
ビジネスホテルに泊まることを考えれば、格段に綺麗で広い。
但し、ベッドは狭い。
残念なことに、二つあっても、くっついていないので、狭さは解消しなかった。
(その代わり、一つをずっと物置台にしていた)
しかし、船は丸窓だよね、と、深く考えなかったのは、少々失敗だった。
やはり、小さいのである。
景色を眺めるには、もっと大きな窓の方がよかった。
もちろん、可能なら、バルコニー付の方がいいに決まっている。
もっとも、大抵は、11Fデッキにいたので、丸窓で十分だったとも言える。
次に、意外に日本語が通じない。
日本船なので、外国人クルーがいても日本語が通じるとなっている。
だが、実際は、そうでもない。
日本人と話をするようには、スムースに意思の疎通ができないのである。
食事の時の飲物のオーダーの際に難儀した。
メニューにあるものならいいのだが、そうでないものを頼みたい場合、まず、通じない。
英語なら通じたのかも知れないが、彼等の日本語よりも怪しい英語など使う気にもなれない。
どうやら担当者が異なるようだったのだが、そんなことは、初めて乗船するこちらには与り知らないことである。
まあ、それでも、頑なに意思を押し通せば、やがて、日本語に熟達したクルーがやって来て、話を聞いてくれる。
日本船だけあって、駄目だ、ということはあまり言わないようだ。
次に、電波状況。
日本一周なので、基本的に電波状況は良好だった。
昼は概ね港に停泊しているので、問題なく受信する。
夜の航行中は多少困難なようだが、それでも、11Fデッキに行けば受信できるという話だった。
docomoの地図アプリの訪れた町を確認すると、とんでもない陸地の先端部分など、どう見ても人跡未踏の地に行ったことになったりしている。
毎度思うのだが、このアプリ、現在位置情報が間違っていることが多いうえに、そこに行くまでの行程というのが無視されている。
そこまで、飛んで行ったのか?!と突っ込みたくなる。
今回、スマホの電子書籍があるのだからと、紙の本は持参しなかった。
本というか、もっぱら漫画なのだが、kingle、GALAPAGOS、eBookJapanと三種類を使用している。
なので、紙の本までは要らないだろうと考えたのだが。
ところが、GALAPAGOSも、eBookJapanも、電波が届かないと、アプリ自体が開かないのである。
それって、読書用のアプリとして、どうなの、と思うのだが。。。。
kindleだけは、同期できないだけで、問題なく使えた。
結局、使い勝手はkindleが一番だということになるかも知れない。
その他。
往復宅急便の依頼も、初めての者には訳が分からなかった。
伝票がついていて、指定の電話番号に電話して依頼するとなっていたが、依頼の仕方が明記されていなかった。
実際に宅急便会社に、「往復宅急便をお願いします」と言ってみたが、珍妙な問答をしてしまった。
「宿泊先名は?」
「ぱしふぃっくびいなす、です。」
「ホテル名ですか?」
・・・?
しかも、電話した数時間以内に取りに来ると言う。
まだ、荷造りは済んでいない。
慌てて、翌々日にして貰ったが、事前の予約が必要と思ったのは、こちらの勘違いのようだった。
船の揺れと酔い止め。
あまり乗り物は得意ではない。幼い頃はバスも電車もダメだった。
今でも、飛行機は苦手なので、長距離の場合は酔い止めを必ず用意する。
短時間の場合は、乗る前にビールを一杯飲む。
ドクトルまんぼう方式で、酔う前に酔っておく。
しかし、クルーズでもこの方式で大丈夫なのかが判らない。
クルーズ体験記などを読むと、フィン・スタビライザーがついていればあまり揺れないという。
しかし、天候次第である。
やはり、酔う前に薬を飲んでおく方がいいようだ、と考えた。
昨年の残りの24時間タイプの酔い止めを前日に飲んでおいた。
のだが。。。これは失敗だった。
とにかく眠い。
二日ほど服用したが、昼にも一杯飲むという方式に切り替えた。
さほど揺れないのなら、やはり酒を飲んでいる方がいいようだ。
天気が怪しくなったら、フロントに常備されている酔い止めを貰えばいい。
天候には恵まれたが、船の揺れが全くないとは言えない。
初日は結構揺れを感じた。
曇天だったし、台風通過後だったから、波が高かったからなのかも知れない。
その後は慣れたのか、波が静かだったのか、あまり揺れは感じなかったが、もちろん、揺れている。
停泊中も、航行中も、揺れている。
少々歩行がおぼつかなくなるが、展望風呂に入ると波が立つので、結構楽しい。
それと、航行中は、当たり前だが、風当たりが強い。
特に舳先の付近、デッキの手すり付近は強風になる。
写真を撮ろうと思って、船縁付近に近付くと、結構な強風に煽られることになる。
さすがに、スマホだと手許が不安になる。
ひもで首から下げられればいいのだが、大きめのスマホなので、首から下げるのは気が進まない。
カメラを買った方がいいだろうかと考えるのだが、カメラの構造と性能が判らないので、結局いつも買わず仕舞いになる。
自分で楽しむ分には、スマホ内蔵のカメラで十二分に高性能だし、画像を確認するのも大きく表示されるし、色も綺麗なのである。
結局は、スマホでいいや、という結論に落ち着く。
食事。
食事は、寄港地の特産品を使った一品など、趣向が凝らされていて、毎回楽しく、概ね美味しく食べられた。
というよりも、毎食、贅沢なご馳走だった。
朝は、和定食か洋食バイキング。
昼は、日替わりで和洋中華のランチ。
夕食は、会席料理かフレンチのフルコース。
食べ過ぎの方が心配になる。
あえていうなら、味付けが関西風(京料理?)なので、関東人の私には少し苦手なものがある。
酢の物が酸っぱすぎるのである。
(同席した人達は全然、と言っていたので、私だけのようだが。)
昆布出汁が基本で、塩味で甘味が少ないというのは、慣れれば、さほど気にならない。
それでも、天麩羅が違うのである。
違いの理由は種々あるようだが、私の場合は、唯一つ、天つゆが恋しかった。
頼めば出てきたのかも知れないが、面倒なので、試してみなかった。
でも、天つゆにたっぷり浸した天麩羅が食べたかったなあ。。。
それと、テーブルマナーを確認しておけばよかったと、少々後悔する。
洋食はともかくとして、和食のお作法を実は知らないと気付いた。
悪名高き先割れスプーンにパンの給食で育った世代なので、洋食には何の抵抗もないのだが、和食は箸の使い方からして怪しい。
もっとも、気になったのは最初の一品だけで、後は食べて飲んでいるうちに、マナーなんぞは吹っ飛んでしまったが。
ティータイムを含めて、最大8回の食事が摂れるというのは嘘ではなかった。
問題は、そんなに食べられるか、ということに尽きる。
結局、
6時にエスプレッソとマフィン。
8時頃に朝食。
12時頃に昼食。
4時にサンドイッチとアイスコーヒー。
18時半過ぎに夕食。
の五食で、比較的規則正しい食生活を送っていた。
残念ながら夜食には一度も行かれなかった。
オープンの時間には既に寝てしまっていたのである。
服。
いろいろ迷ったが、結論として、船内で洗濯できるので、日数分の着替えを用意する必要はないのであった。
ランドリーには、乾燥機とアイロンもある。
洗剤もあるが、柔軟仕上げ剤はない。
乾燥機用の柔軟剤はあったが、乾燥機は使用しなかったので、どんな効果があるのかは分からない。
着替えとしては、Tシャツ2~3枚、下着・靴下3組程度で、十分なようだ。
セーターとウィンドブレーカーは必需品。
(船縁付近は強風で寒い。早朝と夜は冷える。)
パジャマも必須。
ゆったり寝るには、普段通りの寝支度がいい。
あとは、昼に着るもの、観光に着るもの、夜に着るもの、それぞれ用意すれば十分に間に合いそうだ。
サンダルはあった方がいい。
ビーチサンダルより、クロックスのように踵がある方がいい。
展望風呂にはスリッパで行ってもいいのだが、結構な距離になるので、やはり、サンダルの方が歩きやすい。
夜はドレスコードがあるので、要注意。
今回は、インフォーマルが1回だけで、あとはカジュアルという指定だった。
インフォーマルとは何ぞや、と、真剣に調べてみると、フォーマルではないが、お洒落な格好のこととある。
披露宴などに着て行く服、などと解説されているが、冠婚葬祭と縁遠い生活をしていると、判断に困る。
結局は、夜にレストランでフルコースの食事をする時に相応しい格好、でいいようだ。
確かに、会席料理やフレンチのフルコースを食べるのなら、やはり、それなりの格好をしている方がよさそうである。
つまりは、着飾って、食事を楽しめばいいのである。
では、カジュアルは、何でもいいのか、というと、さにあらず。
ジーンズ、Tシャツは不可とある。
ポロシャツとブレザーならいいか、と思って用意してみたが、テーブルに着くと、周囲の人は結構、お洒落な格好をしている。
箪笥の総ざらえと思って、目一杯準備して行った方がよさそうだった。
しかし、今回はフォーマルのドレス指定がなかったからいいようなものの、フォーマルの時には、どんな服を着たらいいのだろう???
とはいえ、余計な心配なので、機会が訪れたら、検討してみることにする。