ドラマ「オスマン帝国外伝」に学ぶトルコ語とお作法?

学ぶという程ではないが、観ていて、気付いたこと。

オスマン帝国での正式のマナーかどうかは知らないが。

 

まず、挨拶。

目上の人の前では、両手を前で組んで、頭を下げる。

(※日本式の頭を下げるではなく、視線を落とす感じ)

女性は一度膝を曲げる。

男は、ハレムの女性達と出会った時は、後ろを向く。

うっかり見てしまったら、死罪。

スルタンの前では、尻を向けてはいけない。

向けてしまったら、死罪。

もちろん、通る前に先触れがある。

 

より敬意を表す場合。

跪き、衣の裾を両手?にとって、口付けをする。

スルタンが母后にしていた挨拶は、手を取って、口付けをする。

退出する時は、後ろ向きに。

ずっと後ろ向きでなくでもいいようだ。

 

敬称。

スルタンは、スルタン・スレイマン

スルタンだけが名前の前に付く。

呼びかける時に何と言っているのかは、残念ながら聴き取れない。

日本語にし難い発音何だろうと思う。

母后は、ヴァリデ・スルタンと呼ばれる。

皇女、皇子もスルタン。但し、名前の後に付ける。

皇女ハディージェは、ハディージェ・スルタン。

母后、皇女、皇妃に対する呼びかけは、スルターナとも、スルターヌとも聞こえる。

第一夫人、第二夫人に対しても、スルターナと呼びかける。

部屋付きの側女(いわゆるオダリスク)には、アトンとかハトンと聞こえるが、どうやらカドゥンとつけるようだ。

普通に、女性に呼びかける時にも使われている。

ヒュッレムは、呼び捨てから、ヒュッレム・カドゥン、ヒュッレム・スルターナと出世した。

男性に対する尊称は、エフェンディ。旦那とか先生とか訳されている(ような気がする)。

大臣に対しては、当然、パシャをつける。

イブラヒムも、小姓頭の時にはエフェンディで、大宰相に抜擢された後、イブラヒム・パシャと呼ばれるようになった。

 

簡単なトルコ語

語順は確か、日本語と同じ筈なのだが、聴き取りは不得手なので、発音はよく判らない。

「わたし」(一人称)は、「ベン」

「はい」は、「エヴェット」

「いいえ」は、「ヨック」と聞こえるが、違うかも知れない。

「ありがとう」は、該当する語はないと昔聞いたことがある。

その時々のシチュエーションで異なるというのだが、覚えられなかった。

 

トルコ語ではないが。

アッラー」と、スンビュル宦官長がよく言っている。

日本語の「あら」と同じような使い方をしているようだが、多分、アッラーの神様のことだろう。

あらっ、とか、あらまあ、とか、あらあらまあまあ、とか、日本語と似ていて、面白い。

「インシャラー」も皆がよく使っている。

意味は「神の御心のままに」だが、字幕はもっと軽い感じの「うまくいけばね」みたいになっている。

 

ドラマとはいえ、さすがにトルコで製作されているので、要所要所で、礼拝、祈祷がされている。

会議の前、遠征の際、名付けの際、など。

最後に顔を手で覆うのは、略式なのか、礼拝ではなく、何かのお祈りだからなのかは、よく分らない。

 

イスラム教では、偶像崇拝を禁じている。

なので、肖像画などもってのほか、の筈だが、歴代スルタンの肖像画が残っている。

レイマン大帝が肖像画を描かせたのはありそうな話だが、真偽のほどは分らない。

イブラヒム・パシャの邸が西洋風なのが、母后の顰蹙をかったのは、洋風で、人物(天使?)の絵が描かれていたからだろう。

塩野七生が描写していた邸は、純トルコ風だったと記憶しているが、どちらが正しいのかは不明である。

 

さて、ハマム(トルコ風呂)。

蒸気風呂のようだ。

残念ながら、真っ裸ではなく、バスタオルを巻いているような浴衣を着て、入浴している。

バスタブはないので、お湯は泉水の水槽のようなところから汲む。

石鹸をつけた海綿のようなもので体を洗う。

飲物が供されたり、菓子や果物を食べたりしている。

なかなか楽しそうである。

 

ジャリエたちは、優雅にハマムに入ったりして遊んでいるのかと思うと、そうではないらしい。

ドラマでは、メイド風(キャップとエプロンはない)の縦縞のドレスを着て、掃除をしたりしている。

大部屋だが、ベッドは各個人別にある。

時間になると、別室で、お稽古事をする。

ちゃんと教本のようなものを持って、移動する。

ダィエ女官長やスンビュル宦官長が先導して連れて行く。

時間がある時には、刺繍をしている。

スルタンのお召しがあると、イクバルと呼ばれ、部屋を与えられる。

要するに、お局様になる。

このお召しがあると、ドレスや宝飾品で着飾って貰えるようだ。

そして、宦官長自らが、御前でのお作法を教え込む。

お召しの後には、スルタンから報奨が与えられる。

ご寵愛が続くと、金持ちになれるのである。

そうして、宦官や女官に賄賂(バクシーシ?)を渡して、権勢を恣にできる、のだろう。

 

このジャリエたち、買われたり、贈られたして、ハレムにやって来る。

まずは、身体検査がある。

容姿で、側女候補にするのか、下働きにするのか、決めていたようだ。

病気持ちでないかを確かめ、さらに、医女が処女かどうか確認していた。

それから、お作法や、歌舞音曲を習って、スルタンのご指名を待つ。

実際は、母后が決めている。(と宦官長が言っていた)

神聖な金曜日は、第一夫人と過ごすことになっている。

 

ハレムのことなので、ベッドシーンは避けて通れないが、さすがに、あからさまなシーンはなかった。

せいぜいキスシーンくらい。

ベッドでのシーンも、並んで寝ている程度。

ドラマでは、イブラヒムと皇女ハディージャが大恋愛をする。

それだって、人目を避けて、こっそり文を交換するだけ。

二人が逢引きしても、間違っても、抱き合ったりなどしない。

そんなことをしたら、多分死罪。

というか、小姓頭と雖も、ハレムには入れないんじゃないかと思うのだが。

紆余曲折の後、漸く、二人の婚約が調い、晴れて、公認のデートをする。

とはいえ、女官付き(見て見ぬ振りをしている)で、手を取り合っただけ。

いや、でも、こういう奥ゆかしい方が、新鮮でいいなあ。

 

大宰相と皇女の結婚式は、8日間続いた。

その間、新婦と新郎は別々に、つまり男女別々で披露宴をする。

最後に、新婦が新郎の家に赴く。

この婚礼衣装は、とても豪華で、ルビーの飾りがついていて、とても綺麗だった。

スルタン自らが彫金したチューリップ(エメラルドとルビー)の首飾りを贈られる。

 

アナトリア原産のチューリップは当時、トルコ国外持出禁止だった。

スルタンの家族の象徴だったらしい。